刻一刻と、その日は近づく。
演目、配役、係も決まり、我が演劇部の部室は活気に満ちていた。
「颯大くーん!採寸したいからこっち来てー?」
「はーい!」
台本を読んでいた今回の主役を呼ぶと
なんだか、周りの視線がイタイ・・・・・・。
「な、なんか・・・チクチクするのは気のせいかしらヒトミさん?」
「あー・・・・・・」
視線の意味を理解できず、
近くで口に釘をくわえカンカンやってる(男前!)ヒトミに問いかけると
諦めたような笑みを返された。
「・・・何よぅ、その顔」
「いや、ほら・・・颯大君の衣装係、競争率高かったでしょ?」
「・・・うん?みんな主役の服作りたかったんじゃないの?」
やっぱ作りがいあるもんねー!選ばれたのはラッキーだ!!
ぐっと拳を握ってたら、ヒトミは私の肩に手を置いて
ふるふると首を横に振った。
「・・・ん?」
「ちがくて。・・・みんな颯大君に近づきたかったんだよ。」
「お・・・?;」
「だから、ちゃんが感じてる視線は・・・」
・・・・・・・・・・・・!
恨み、辛み、妬みか!!
理解した途端、背中にぞわぁ〜っと悪寒が・・・・・・
「ひ、ヒトミぃー・・・っ」
「が、頑張れ!じゃっ!!」
の一言といい笑顔を残し、ヒトミは去っていった。
「は、薄情者!」
「おまたせ・・・っと、先輩?」
「ぅひ!・・・て、颯大くん」
「どうかしたの?ヒトミ先輩、行っちゃったみたいだけど・・・」
あぁ・・・そんな、首傾げて上目遣いとか・・・っっ///
私、鼻血が出てしまいそうです・・・
「なっ、なんでもないよ!さー、採寸しよっか!」
「・・・?はーい。」
ポケットに忍ばせていたメジャーをしゅるっと出して
颯大くんの背中に手を回す。
「ごめん、ちょっと腕上げてー・・・」
「うん・・・と、こう?」
「ありがと・・・て、ぅわっっ」
な、なぁにこの腰!!!!
「颯大くん、細いねー!!!!」
「そうかな?」
「女の子みたいだよ!・・・羨ましぃー・・・!!」
私は1人大興奮で、採寸を進めていった。颯大くんの変化にも気づかずに・・・。
「いいなぁ・・・私もダイエットしようかな」
「・・・・・・先輩」
少しトーンが下がった颯大くんの声に顔を上げると
そこには、むぅっと頬を膨らませたワンコがいた。
「・・・・・・可愛い」
「あぁ!先輩、今『カワイイ』って言った?言ったでしょ?!」
「え・・・えへv」
「もー!ボク男なんだからね?!全っ然うれしくない!!」
「ご、ごめん〜っ」
でもやっぱり、その様子が可愛くて・・・
自然と頬がゆるんでしまう。
「せ・ん・ぱ・い?!」
「ひーっ、ごめんなさいー!でも可愛いんだもんー!」
「・・・・・・じゃあ、ボクが男だ!って、わからせてあげるよ!!」
「へ・・・」
瞬間、体がふわっと浮いた感じがして
私は、すぐには状況を把握できなかった。
周りから聞こえる女子の悲鳴と、男子の冷やかしの声。
背中と膝裏に感じる、たくましい腕。
頬をくすぐる綺麗な髪。
そして・・・
目の前には、勝ち誇ったような彼の笑み。
“ボンッ”と自分の顔から、音が鳴った気がした。
「先輩、顔真っ赤だよ?カワイーv」
「なぁっ・・・!!そっ、そそ!颯大くん!!!!」
そう、私は俗に言う『お姫様抱っこ』をされたらしい。
はっ、恥ずかしすぎる・・・っっ///
無理矢理降りてやろうと、足をじたばたさせてみるけど、颯大くんはびくともしなくて・・・
思わぬ力強さに驚きと、胸の高鳴りを感じた。
もはや無理に降りるのは無理だろうと諦めると
さっきまで楽しそうに私を見て笑っていた颯大くんが、急に真剣な顔をして話しかけてきた。
「ね、先輩・・・」
「・・・な・・・に・・・?」
さっきまでの、からかうようでもなく
いつもの、可愛い後輩のようでもない颯大くんの声音に
私の心臓は早鐘を打っている。
ぎゅ、と私を抱き上げる腕の力が強くなった気がした。
「・・・ボクのこと、後輩じゃなく、男として・・・見て」
不安の色を宿しながら、それでも私を真っ直ぐ見る瞳。
私・・・
あなたのように、言葉ではっきり伝えられる自信はないから・・・
返事の代わりに、彼の首に腕を回した。
今まで以上に真っ赤であろう顔を、彼の・・・
颯大くんの胸に隠すように。
「・・・っ、先輩大好き!!」
ずっと、ぎゅっと。
思いのほか長くなってびっくりです。
スポーツやってるし、颯大くんは力強いよね!と勝手に思って。
やっぱり文章書くのって難しいなぁorz
まだまだ修行が足りないようです。